大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)1210号 判決

然し乍ら、刑法第二三八条に所謂窃盗逮捕を免れる為め暴行又は脅迫を為したときとは、窃盗犯人が当該犯行の機会若しくはその犯行現場又はこれと同視すべき場所において、当該窃盗犯人としての逮捕を免れる為めに暴行又は脅迫を為したことを謂うのであつて、仮に時間的に犯行と近接していても、犯行の現場と全然異る場所において、而も当該窃盗犯人としての逮捕を免れる為めに非ずして暴行又は脅迫を為した場合はこれを包含しないものと解すべきを相当とする。

今本件記録を精査し、原判決挙示の証拠を詳細に検討勘案すれば、原判示第二、(六)の事実は当該証拠により優にこれを認め得られるところであるが、該判示事実によれば、被告人が判示暴行を為した場所は、被告人が判示籾二俵を窃取した場所である相生市広沢町二丁目三三二四番地の被害者津久井恵太郎方より、北方に約二百米距りたる、同市広沢町一丁目二八四五番地附近道路上であるのみならず、当該犯行の目撃者ではなく、従つて当該犯行とは全然無関係に、折柄警邏中の同市警察署新相生駐在所勤務巡査石川義雄から呼び止められ、職務質問をされんとして懐中電燈で照らされるに及んで逮捕を免れんが為め為されたものであるから、原判決がこれに対して刑法第二三八条を適用しなかつたのは、寧ろ当然であつて、原判決には事実誤認の違法が存しないのは勿論、法令適用の誤もない。

論旨は孰れもその理由がない。

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